スーチ刺繍
今回は成り立ちがちょっと面白いハンガリーの刺繍をご紹介。
多くのハンガリーの刺繍は、ある一定の地域から「伝統」として
派生していくと思うんですが、中には職業から派生した刺繍もあったようで、
その一つがこれから紹介するスーチ刺繍;Szűcs hímzés。(・ω・)ノ
モチーフの配置がジャングルのように生い茂り、 色も明るいというより、濃いめな印象。 重厚なインパクトのある刺繍。 |
*写真参考:https://hu.wikipedia.org/wiki/Sz%C5%B1csh%C3%ADmz%C3%A9s
<スーチ刺繍の生まれた場所>
ハンガリーでは民族衣装として革製コートやジャケットを作る文化があり、
職人をスーチ;Szűcs、「革の服を作る職人」と呼んでいました。
つまりスーチ刺繍は「革の服を作る職人の刺繍」という意味。
ハンガリーの民族衣装で革製品は一般的で、革製の服を縫製する職人は需要のある職業でした。
なので特定の地域はなく、ハンガリー文化圏全域で発生したと考えられます。
もともと革製品に刺していたから、重厚感のある目立つ
デザインになったのかもしれませんね。(。・д・。)
民族衣装の一つクドゥムン;ködmön。 一般的には毛糸ですが、貴族用にシルクの糸を使う 場合もあります。 |
*写真参考:http://mek.oszk.hu/02100/02115/html/3-813.html
<スーチ刺繍の模様と配置>
スーチ刺繍は前述したように、職業から派生した刺繍なのでモチーフは多岐に渡ります。
例えば、アカシアやトルコ樫、忘れな草やバラを始めとする花々、孔雀の羽・・・
お客さんの要望に応えて行った結果なのか、模様のバリエーションに富むのもこの刺繍の特徴です。
ハンガリー文化圏全体でみると、模様の統一は組織的になかった一方で、
唯一ハンガリー第2の都、デブレツェンだけはクドゥムンに施す模様が決められていたようです。
主に「生命の樹」の枝にリンゴ、心臓、バラ、カーネーション、
チューリップ、それからベリー等をぶら下げるそう。
赤いモチーフのオンパレード!*。ヾ(。>v<。)ノ゙*。
スーチ刺繍の配置に関しては下記の特徴がよく見られるので、
参考にしてみるのもいいかもしれません。
・左右対称
・幹に三本ほど枝をつける
・下部には丸いバラ
・枝先にはチューリップをつける
・最上部には花の蕾をつける
*写真参考:https://hu.wikipedia.org/wiki/Sz%C5%B1csh%C3%ADmz%C3%A9s
<スーチ刺繍の色>
色は刺すモチーフによって使う色が違います。
・花:赤系、紫系
・葉:緑、黒
上記の色以外にも黄色、白、青などを使い場合もあります。
また地方性なのか、トランシルバニアやペーチ地方では
地味だそうです。ヾ('・'*)ノ゛
<スーチ刺繍の刺し方>
ライズドフィッシュ ボーンステッチ | ボタンホールステッチ | サテンステッチ |
ヘリンボーンステッチ |
他にも色々な刺し方があるのですが、ハンガリー語をうまく訳せず、見つからず。
刺し方をご存知の方、今回記載した内容に間違いを見つけた方、
ぜひご教授ください!(*´▽`人)
参考文献